おはようございます。リアルインサイトの今堀です。
朝夕かなり冷え込むようになってきて、布団から出るのが辛くなる時期ももうすぐですね。。。
【※ 今回より、参照文献やニュース等のリンクは、末尾にまとめておりますので、ご関心がおありの際は是非ご確認下さい】
さて、遺伝子組換え作物(GMO)というものの存在は、あなたもよくご存じだと思います。スーパーなどでお買い物をされれば、大豆などの加工食品の原材料表示に、
「遺伝子組換えでない」
と書いてありますよね。
ところで、農作物ではなく、遺伝子組換えの「動物」には、あまりなじみがない方が多いのではないでしょうか。ひょっとしたら、動物実験に使われる、
「ノックアウトマウス」(特定の遺伝子が無効化された 遺伝子組換えマウス)
をイメージされたかもしれませんが、今回お伝えしたいのは、それとは別物で、
「食品」
として、すでに流通が始まっているものについてです。
成長スピードが速いキングサーモンの成長ホルモン遺伝子と、一年中成長する深海魚の遺伝子をアトランティックサーモンに組み込むことで、2倍速で成長する「遺伝子組換えサーモン」は、すでにアメリカとカナダで認可され、2017年8月から出荷されている。(アメリカでは200万人がFDAに抗議コメントを送ったが無視された)
*1 堤未果著『日本が売られる』P.82-83
*2 参考記事:【カナダ】世界初の遺伝子組換えサケの販売が開始。求められる社会的議論(2017年10月1日・Sustainable Japan)
ザ・リアルインサイト2018年10月号でインタビュー動画を配信中の国際ジャーナリスト、
堤未果(つつみ みか)氏
の最新刊より引用させていただきましたが、この後に続く記述から、決して
「対岸の火事」
ではないことが分かります。かいつまんでお伝えすると、
- 日本での販売は許可されていない
- しかし、イクラなどの加工品なら いくらでも入ってくる(シャレではありません)
- 外食には表示義務がないので、回転寿司等では全くわからない
- 日本政府は慌てて抜き打ち検査を始めたが・・・
というのが現状だということです。そして、さらに重要なのは、
2019年に予定通り「TPP11」が発効すれば、
- 未承認の遺伝子組換え食品が入ってきてもすぐに返品はできず、相手国との協議が必要になる
ということです。
TPP11、19年1月中旬メドに発効へ 政府見通し【イブニングスクープ】(2018年10月22日 日本経済新聞電子版)
数年前の時点で、農協の新聞は、この「遺伝子組換え鮭」について、
- 性格が獰猛になる
- 生態系に大きな影響が出る
- EU議会は輸入禁止を求めている
などの警告を発していました。
シリーズ:安全な食とは 第8回 遺伝子組換え鮭がやってくる(2013年3月1日・農業協同組合新聞
【電子版】)
が、すでに流入は事実上始まってしまっているのです。
遺伝子組換え食品の歴史は、まだそれほど長いものではありません。
遺伝子組換え作物ですら、アメリカでの流通が始まってから、20年程しか経っていないのです。
問題は、健康や環境にどのような影響が出るか、まだ明確にはわかっていないことなのではないかと思います。
だからこそ、「選択肢」が確保されることが重要なはずなのですが、
前掲書は、
「日本は世界一の遺伝子組換え食品輸入大国」
と断じています。
実は、現在の遺伝子組換え表示に関する法律は、ほとんどが
「ザル法」
であり、表示義務がない食品が大量に流通してしまっているようです。
もう一つだけ引用しますと、
“ 食政策センタービジョン21の安田節子代表によると、日本のスーパーで売られている食品の60%に遺伝子組換え原料が使われている事実を、ほとんどの消費者は知らないという。”
(前掲書P.79-80より)
ということなのですが、これは恐るべきことではないでしょうか?
さらには、
遺伝子組換え食品の「表示ルール自体」を
「なくせ」
という要請が続けられており、これすら実現しつつあるのです。
私個人は、あまり細かいことを気にする方ではありませんが、今月号のインタビューで堤氏が強調
されているように、小さなお子さんのいらっしゃる方は、特にご心配なことでしょう。
「選択肢」
が失われてしまう事態は、決して望ましいものではないはずです。情報が溢れている現代で、なぜかこうした事実がきちんと伝わらないもどかしさを感じますが、全てが隠されているわけではありません。
きちんと関心を持つ人々が増えることで、こうした流れをどこかで止めることは可能なはずです。
本メールをいつもお読みいただいているあなたは、自ら時間を割いて情報を求めていらっしゃると思います。
ご紹介した内容について、是非ご自身でもお調べになっていただければ幸いです。
また、会員の皆様は、現在進行中の多様な問題に斬り込んでいる2018年10月号コンテンツ
堤未果氏インタビュー収録映像
「貧困大国アメリカの実情を我々が知らねばならない理由」
「報道されない“日本が売られる”現実」
も是非じっくりとご覧下さい。
【引用・参考図書】
『日本が売られる』(堤未果著, 幻冬舎新書, 2018年)
https://www.amazon.co.jp/dp/4344985184
【参考記事】
【カナダ】世界初の遺伝子組換えサケの販売が開始。求められる社会的議論(2017年10月1日・Sustainable Japan)
https://sustainablejapan.jp/2017/10/01/gmo-salmon/28280
TPP11、19年1月中旬メドに発効へ 政府見通し【イブニングスクープ】(2018年10月22日 日本経済新聞 電子版)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36763310S8A021C1MM8000/
シリーズ:安全な食とは
第8回 遺伝子組換え鮭がやってくる(2013年3月1日・農業協同組合新聞【電子版】)
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/rensai/2013/03/130301-19967.php
(※こちらでは通常の鮭と比較して巨大な遺伝子組換え鮭の写真もご覧になれます。)
それでは、また。
今日も皆様にとって幸多き1日になりますように。
日本のよりよい未来のために。
私達の生活、子ども達の命を守るために、ともに歩んでいけることを切に願っています。
リアルインサイト 今堀 健司
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