西村康稔経済再生担当相は昨日の記者会見で、

「4―6月期のGDPは、かなり厳しい数字になることを覚悟しなければならない」*

と語りました。同時に、

「内需は4─5月を底に上向いている」

として、

「補正予算を執行していくことで下支えしたい」

とも強調しているのですが、1次と2次を合わせた補正予算は

「57兆円」

にとどまっており、到底先行きを楽観できる状況ではないと思われます。

また、世界的にはコロナウイルス感染症はまだ拡大を続けており*2、全世界での終息がいつになるのかは全く読めない状況です。

現在、各国で新型コロナウイルスについての研究が進んでおり、昨日もノルウェーのオスロ大学病院が中心となった研究で

「血液型がA型では新型コロナ感染リスクだけでなく、症状が重症化するリスクも高い」 *3

可能性が示されたと報じられました。

こうした研究の積み重ねによる科学的エビデンスに基づき、

「何がわかってきているか」

についての情報をアップデートし続けることこそが、真に重要だと思います。

そして、前回もご紹介した

「日本の死亡者数はアジアでワースト2」 *4

という事実は、決して軽視してはならないものでしょう。

獨協大学教授の森永卓郎氏は、こうした事実と経済対策の遅さ、不十分さから、

「日本のコロナ対策は大失敗だったのではないか」 *5

とまで書いています。その意見に全て賛同できるかは別としても、安倍首相が5月25日に全国での

「緊急事態宣言解除」

を発表した際の

「わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います」*6

という発言をナイーブに信じてしまうことへの警鐘には説得力があります。未曾有の危機はまだ去ったわけではありません。

そして、危機のさなかでは、正しい情報を得ることが難しくなるだけでなく、とんでもないデマも飛び交いやすくなります。

それらは突如表れたものだけではなく、元々存在していたものも、多くの人の不安心理につけこむことで、何度でも登場してくるのです。

ザ・リアルインサイト2020年6月号では、

『学校に入り込むニセ科学』

『暮らしの中のニセ科学』

等の著者であり、元法政大学教授で東京大学講師の左巻健男(さまき たけお)氏のインタビューを配信中です。

  • コロナ危機に乗じて飛び交うデマの数々
  • 「首から下げるバカ発見器」が意味するもの
  • 免疫力、抗酸化、波動、etc.・・・このフレーズがあったら要注意!?
  • 科学を装い権威と信頼性を利用するのが“ニセ科学”
  • ニセ科学に騙されないために何を知る べきなのか
  • 削減され続ける教育投資は未来に何をもたらすか
  • すでに凋落傾向にある日本人の科学リテラシー
  • 健康食品、サプリメント、代替療法、
  • 「◯◯が治った!」体験談が無意味な理由
  • 審査のない学会発表は無価値!?
  • マイナスイオン、神経神話・・・多くの人に浸透している思い込み
  • 大手企業がニセ科学を商売に使う時代
  • ビジネスに産み落とされ、学校教育を蝕んでゆくニセ科学の現実
  • 「学校の先生」はなぜニセ科学に取り込まれやすいのか?
  • スティーブ・ジョブズがすがった代替療法がもたらした悲劇
  • 人間は誰でも騙されるようにできている?認知心理学が明かす事実
  • “誰でも騙されうる”という認識こそが重要である理由

コンテンツ映像の一部を無料で公開しておりますので、是非ご視聴ください。

左巻健男氏インタビュー「危機にはびこるデマとニセ科学」
-ザ・リアルインサイト2020年6月号-

それでは、また。

リアルインサイト 今堀 健司

【引用・参照元】

* UPDATE 1-GDP4-6月期は厳しい数字覚悟、内需中心の経済回復を=西村再生相(2020年6月19日・ロイター)

*2 ジョンズ・ホプキンス大学 コロナウイルス・リソース・センター

*3 新型コロナ感染、血液A型は重症化リスク高い可能性=研究(2020年6月19日・ロイター)

*4 「日本の死亡者数はアジアでワースト2」 ─新型コロナ対策に慶大・菅谷氏が警鐘(2020年5月21日・日本医事新報社)

*5 日本のコロナ対策は大失敗だったの ではないか(2020年6月19日・毎日新聞)
※有料記事ですので、全文を読むには登録が必要です。

*6 新型コロナウイルス感染症に関する 安倍内閣総理大臣記者会見(2020年5月25日・首相官邸)

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