おはようございます。リアルインサイトの今堀です。

「お金」(=貨幣)とは何でしょうか?

一般的な理解はおそらく以下のようなものでしょう。

原始の経済は物々交換から始まった。

交換の対価として貴金属が使われるようになった。

持ち運びに不便なので紙幣を用いるようになった。

つまり、お金とは、元々それ自体に価値がある貴金属であったということですね。

しかし、これが

全くの間違い

であるということを、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行が国民向けのパンフレットで強調しています。

Money creation in the modern economy (近代経済における貨幣創造)

こちらに目を通していただければ、先程の“一般的な理解”をされていた方は、目から鱗を落とされることでしょう。

もちろん英語の文章なので、読み通すには骨が折れるという方も多いかもしれません。

ですので、答えだけを簡単にお伝えします。

物々交換が貨幣の起源であるという広く人口に膾炙した考えには、実は歴史学的にも人類学的にも全く裏付けが得られていません。それにも関わらず、大半の経済学者ですら、この誤解に縛られているとしたら、恐ろしいですよね。

では、貨幣とは何か?

それは、「負債」です。

もっと簡単に言ってしまえば、

借用書」です。

つまり、誰かが他の誰かに何かを借りたという証文です。

それが、なぜ貨幣=お金として信用され、流通するようになるのかといえば、最終的には国家が果たしている役割があるためです。

その役割とは・・・?

ザ・リアルインサイト2017年8月号コンテンツの「中野剛志(なかの たけし)氏インタビュー」から、「お金」の正体を喝破した部分を特別にお届けします。短い動画ですが、こちらをご覧いただけくだけで、

  • お金の正体
  • 信用の根拠

が明らかになり、なぜ「金融緩和」でデフレ脱却が実現しないのかまでもすっきりとご理解いただけることでしょう。

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お金=負債

ですから、私達が日常使っている紙幣すなわち「日本銀行券」も、中央銀行である日本銀行が発行する「負債」です。

事実として、日本銀行のバランスシートを見れば、日銀券(発行銀行券)が負債の部に計上されています。

2018年6月30日現在の日銀のバランスシート(営業毎旬報告)

なお、「貨幣の正体」については、近年面白い書籍が多数出ています。一部をご紹介しますと、

『21世紀の貨幣論』
(フェリックス・マーティン著, 2014年)

『富国と強兵』
(中野剛志著, 2016年)

『負債論 貨幣と暴力の5000年』
(デイヴィッド・グレーバー著, 2016年)

『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』
(カビール・セガール著, 2016年)

『日本人が本当は知らないお金の話』
(三橋貴明著, 2014年)

等があります。最もお勧めしたいのは、中野氏の『富国と強兵』ですが、『負債論』と同様に大部ですので、三橋氏の『日本人が本当は知らないお金の話』が、一番お読みいただきやすいかもしれません。

中野氏がインタビュー動画の最後で、

貨幣の正体は負債であるという主張をしていた人は昔からいた

と言及されていますが、その代表的な人物の一人が、あのジョン・メイナード・ケインズです。

そして、ケインズ生誕よりも前に、お金の正体を喝破した書籍を刊行していた人物が、日本にいました。

それは、明治11年に『通貨論』を著した福沢諭吉です。

旧字・旧仮名ではありますが、実に平易な文章で著されており、ありがたいことに、慶應義塾大学がPDF版を公開しています。

『通貨論』(福澤諭吉著, 1878年)
慶應義塾大学メディアセンター デジタルコレクション

お金に対する誤解は、大多数の人々、しかも権威だと思われている経済学者すら呪縛し続けてきました。

中野氏が「資本主義の死」と表現されているデフレを、歴史上類例のないほど長引かせてしまった、我が国の「経済失策」の根底にもこの呪縛が潜んでいます。

ですので、一人でも多くの方に、「お金の正体」を正しくご理解いただくことは、非常に重要なのです。

ご紹介した書籍もご参照いただき、ご理解を深めていただければ幸いです。

それでは、また。
今日も皆様にとって幸多き1日になりますように。

日本のよりよい未来のために。

私達の生活、子ども達の命を守るために、
ともに歩んでいけることを切に願っています。

リアルインサイト 今堀 健司