今更ながら、昨年12月の臨時国会で多くの「売国」法案が可決・成立してしまったことに寒気を覚えていますが、あなたは、「入管法」・「水道法」に隠れて、「漁業法」も改正されていたことは、ご存じでしたでしょうか?

その目的は、

“主な柱は、船ごとに漁獲量を割り当てる資源管理の導入と、養殖・定置網の二つの漁業権の「地元優先」枠をなくすことだ。後者には、漁業への企業参入を促す狙いがある。”※1

というものでしたので、当然ながら、

“養殖などの漁業権では、地元を優先するルールを撤廃。漁業者から懸念の声もあり、野党側は「現場に混乱と対立をもたらしかねない」「急ぐ必要はない」などと批判していた。”※2

と反発も少なくなかったのですが、

“衆院では、農林水産委員会でわずか4日、参考人質疑も含め実質10時間半” ※3、

“参院の委員会では、わずか2日” ※4

という極めて短い審議時間で可決されたことにはやはり、驚きを禁じえません。

というのも、

「漁業権」

という制度の運用自体が日本に特有のもので、そのルーツはなんと、大宝律令(701年)にまで遡れるそうなのですが、これを改革しようとしたGHQですら、慣習の壁に阻まれたという史実があるためです。

敗戦後、GHQは農地改革に準じた改革を漁業にも当てはめようとした。ところが、長年漁業権が慣習として定着していたため、各地の上位階層が占有していた既得権を開放することは出来ても、日本独自のシステムを撤廃することはできなかった

『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』※5

これと同じく、GHQの要請を突っぱねて慣習を守った逸話は、私がかつて属した不動産業界でも聞いたことがあります。

日本の宅地建物取引業法(宅建業法)では、仲介業者が売主と買主の双方から手数料を得ることを認めていて、これを「両手仲介」と呼んでいる(売主・買主のどちらかから手数料を得る場合は「片手仲介」)のですが、この慣習は宅建業法制定(昭和29年)よりも前から存在したらしく、敗戦後の占領期に、GHQ民生部の
将校からの

「日本では、不動産売買の仲介手数料を売主、買主双方からもらっているが、そのやり方は良くない。大金を払った買主からは取らず、大金を得た売主からだけもらうようにすべきだ。アメリカではそうやっている」

という要請に対し、不動産業界の「長老」が、

「日本では双方からが長い商習慣だ」と強調し、何とか認めてもらった ※6

というエピソードがそれです。確かな出典が確認できないため真偽の程は定かではありませんが、十分にありそうな話です。

少し話が逸れましたが、主権を失った時期にすら守られた慣習が、十分な審議時間も経ないだけでなく、直前までほとんど報道すらされず、

「国民的議論」

などどこにもないどころか、大多数の国民が知りもしない間に変えられてしまうことには、やはり強烈な違和感を覚えざるを得ません。

この他にも、現在進行中のものを含め、多くのものが「売られて」います。会員の皆様は是非、改めて

『日本が売られる』”※7

の著者、堤未果(つつみ みか)氏が登場された2018年10月号インタビューをご視聴下さい。加速する「改革」が、我々国民に与える害は、今後間違いなく拡大してゆくことでしょう。

私は、遅かれ早かれ、多くの国民が怒りとともに立ち上がる時期が到来すると思っています。

しかし、それが「手遅れ」にならない保障はどこにもありません。

明るい未来を取り戻すために、少しでも早く多くの国民に「目覚めて」いただくために、今後も、本当にお伝えすべき真実と洞察をお届けして行きたいと思います。

目を逸らすことなく、それを見極めたいという方は、是非ご期待下さい。

それでは、また。

【参照・引用文献等】

※1 漁業、70年ぶり抜本改革 「地元優先枠」なくす改正案(2018年12月7日・朝日新聞DIGITAL)

※2 改正漁業法が成立、企業参入促す 漁業権を抜本的見直し(2018年12月8日・朝日新聞DIGITAL)

※3 主張 漁業法大改悪 拙速な審議での強行許さない(2018年12月6日・しんぶん赤旗)

※4【参院本会議】日EU・EPA、漁業法改正、入管法改正に反対討論(2018年12月8日・国民民主党)

※5 『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(鈴木智彦著・小学館・2018年)

※6 『不動産業の歴史入門』(蒲池紀生著・住宅新報社・2010年)

※7 『日本が売られる』(堤未果著・幻冬舎新書・2018年)

このメールマガジンをお知り合いにご紹介いただける場合は、こちらのURLをお伝え下さい。

【ザ・リアルインサイト無料版】
 ご登録フォーム