おはようございます。リアルインサイトの今堀です。
来月20日に投開票が実施される自由民主党の総裁選は、
「安倍三選」
が確実視されていましたが、「総裁にふさわしい人」についての各社世論調査を見ると、
石破氏がかなりの追い上げを見せており、ANNに至っては逆転しています。
安倍氏 石破氏
共同通信 36.3% 31.3%
(25〜26)
産経・FNN 38.9% 35.1%
(25〜26)
読売 42% 36%
(24〜26)
日経 39% 31%
(24〜26)
ANN 34% 42%
(18〜19)
<※括弧内は調査実施日>
思い返してみれば、安倍、石破、石原伸晃、町村信孝、林芳正の5氏が出馬した2012年の総裁選は、地方票で圧倒的な支持を集めた石破氏が1位となったものの過半数には達せず決選投票となり、安倍氏が逆転勝利を収めるという展開でした。
それでも、各社の世論調査も自民党支持層に限れば安倍首相の支持率が跳ね上がりますし、議員票は「安倍支持」が圧倒的なので、不測の事態が起きない限りは、安倍首相が勝利するのではないかと思います。
こうした情勢を見越してなのでしょうが、麻生派が来夏の参院選前までの憲法改正の国民投票実施を含めた政策提言を行い、安倍首相が
「基本的に考え方は全く同じ」
と応じたことが報じられました。
【自民党総裁選】参院選前の改憲国民投票 麻生派が首相に提言 首相「考え方全く同じ」(2018年8月27日・産経ニュース)
これに対し、石破氏は、
「緊要性の高いもの、多くの国民の賛同が得られるものが憲法改正の対象となる」として、自身は「スケジュール感ありきでやるものではない」と異議を唱えています。
石破氏、首相の改憲姿勢を批判 早期の9条改正に消極的(2018年8月27日・朝日新聞デジタル)
石破氏が総理総裁にふさわしいかどうかは別として、改憲案に対する警戒には肯けます。
昨年登場した、いわゆる「加憲案」を簡単に言えば、「戦力不保持」を規定する現在の第9条第2項を維持したまま、「自衛隊」を明記した第3項を追加するというものです。
石破氏は「9条2項削除」を一貫して主張していますが、自民党が積み重ねてきた改憲議論からすれば、こちらに理があるのは間違いないでしょう。
今は
「平成最後の夏」
であり、皇太子殿下が即位される2019年5月1日までは、もう8か月ほどしかありません。
夏の参院選の前に国民投票が行われるとすれば、改元直後ということになりますが、それまでに石破氏が必要と主張する
「多くの国民の賛同」
を得ることは、非常に難しいのではないかと思われます。
安倍首相は憲法改正を、
自民党結党以来の党是である
憲法改正などの実現へ一致結束を呼び掛け 安倍総裁が全国幹事長会議であいさつ(2018年3月24日・自民党)
と繰り返してきました。であればこそ、とにかく改正さえできればよいということではなく、国家の安全保障を確実に強化するための議論こそ、本当に必要なことではないでしょうか。
そして、戦後日本を呪縛し、現在の衰退を方向づけたものは、憲法第9条だけではありません。その前提となる「平和主義」にこそ、重大な問題が隠されています。
ザ・リアルインサイト2018年9月号では、作家で評論家の佐藤健志(さとう けんじ)氏講演会収録映像を配信予定です。
テーマは、
「平和主義は貧困への道〜戦後日本の根源を疑え」
で、敗戦〜占領〜新憲法制定の過程で殆ど見過ごされている根源的な問題に佐藤氏が鋭く切り込みます。
「丸ごと失われた」とまで評される平成の30年間は、世界的に見れば冷戦終結後の時代ときれいに重なりますが、激動する世界情勢の中で、我が国に「一人負け」と言うべき衰退をもたらしたのは、
「緊縮財政」
「構造改革」
という路線でした。
前編の「平和のために貧困に耐えろ!〜憲法九条と財政法四条」では、「緊縮財政」の根底にも「平和主義」が潜んでいることが明かされます。
「財政法」は第四条で、
赤字国債の発行禁止
財政法第四条
を規定しています。
実際には、1965年に初めて制定された「特例公債法」で赤字国債が発行され、1975年以降は例外的な税収増が生じた数年を除き、1年限りの特例法である同法を毎年制定することで、毎年のように国債発行が行われてきました。
それでも、現在のプライマリー・バランス(基礎的財政収支)黒字化論のように、通貨発行権と徴税権を持つ国家の財政を家計と同一視させるようなミスリードが繰り返され、「緊縮財政」路線は続いています。
そして、財政法四条の目的は「健全財政の堅持」であると同時に、「戦争危険の防止」であることが、大蔵官僚(当時)により、明らかにされています。
第四条は健全財政を堅持して行くと同時に、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている規定である。
平井平治著『財政法逐条解説』(1949年)P.37
また、後編の「従属徹底こそ大国への道だ!〜安保条約と構造改革」では、「構造改革」路線が止められない理由の根源に踏み込んでいます。
冷戦終結後に加速を続けた「構造改革」路線の背景には、日米構造協議、年次改革要望書、日米経済調和対話等で繰り返されてきたアメリカの要請があります。要するに、日本が国内事情に合わせて作り上げてきた規制・ルールを、アメリカの大企業に都合の良いように変更させられてきた歴史ですね。
「反共の防波堤」として保護・優遇されていた日本も、冷戦終結後には「収奪」の対象に変わったということです。
そして、驚くべきは、「構造改革路線」を決定づける要素は、
「日米安保条約」
にその根源がセットされていたということです。
これらは、「陰謀論」でもなければ、不可避的な「運命論」でもありません。公開されている情報からすべてが明晰に語られます。
真の問題は、こうしたアメリカの国家戦略に無自覚なまま、唯々諾々と従ってきた私達日本国民の側にあります。
今年は「戦後73年」と言われますが、国際法上正式に連合国との戦争が終結したのは1952年(昭和)27年であることを忘れてはなりません。
- 占領統治化で何が行われたのか
- GHQとは何だったのか
- GHQの二面性
これらの真実についても、日本人の大半はきちんと知りません。否、きちんと知ろうとしてこなかったという方が正しいかもしれません。
現在の惨状をもたらした根源を明らかにすることなしに、
「没落」
を回避することはできません。
9月号の配信は間もなくです。会員の皆様は是非楽しみにお待ち下さい。
それでは、また。今日も皆様にとって幸多き1日になりますように。
日本のよりよい未来のために。
私達の生活、子ども達の命を守るために、ともに歩んでいけることを切に願っています。
リアルインサイト 今堀 健司
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