だいぶ秋らしくなってきましたが、ついに

「消費増税」

が実施されてしまいましたね。

日本経済がどれほどの破壊的影響に襲われるかは今後、次々に明らかになることでしょう・・・。

これがいかに馬鹿げたことであるかは、まったくもって

「せやろがいおじさん」*

の言うとおりです。。。

ところで、あなたはもう、

「キャッシュレスポイント還元」*2

を活用されていらっしゃるでしょうか?

いまだに認知度はいま一歩のところもあり、混乱が生じているという報道*3 もありますが、賢い利用方法を指南してくれるサイト*4 もありました。せっかくの還元ですので、利用可能な方が積極的に活用されるのは良いことだと思います。

しかし、

「ポイント還元制度」

の実施期間は来年6月までの9カ月間限りですので、どうしても

「朝三暮四」

という言葉が思い浮かんでしまいます。しかも、朝三暮四ならば朝と暮れで猿がもらえるとちの実の数は変わりませんが、2%増税による負担は「減税」が実施されない限り半永久的に続きます。言ってみれば、

「未来永劫絞り続けるから、最初はちょっと返してやろうか」

という程度の話なのでしょう。ついでに、

「キャッシュレス決済」

を普及させたい省庁と、ビジネスチャンスを見出した企業の思惑もそこに便乗しているのだと思います。

朝三暮四には

「当座しのぎに適当にあしらうこと」*5

という意味もあります。現状はまさにこのような状態なのではないでしょうか。このようなまやかしよりは、例えばフランスのように、様々な軽減税率を適用する制度*6 の方が、圧倒的に有用でしょう。

そして、現在の消費増税が

「最悪のタイミング」

で実施されることは、これまでにも繰り返しお伝えしてきましたが、増税前から景気指数はすでに悪化していたというニュースもありました。

曰く、

内閣府が7日発表した8月の景気動向指数(CI、2015年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月より0.4ポイント低下して99.3となった。(中略)指数の推移から機械的に決まる景気の基調判断は4カ月ぶりに「悪化」となった。10月の消費増税を前にした国内景気の停滞感が改めて浮き彫りになった。

2019年10月7日付日本経済新聞 *7

だそうですが、記事の結びにはこうあります。

政府は消費増税を挟んでの景気の腰折れは避けたい考え(中略)増税前からの停滞を引きずる日本経済をどう下支えするか、経済財政運営は難しさを増している。”

同上

もはや意味不明というしかないですね。答えは明白です。

  1. 消費減税(または消費税廃止)
  2. 財政出動
  3. 1+2

これだけで日本経済は奇跡の復活を遂げるでしょう。しかし、現実は正反対の方向へ向かっています。

ザ・リアルインサイトのインタビューや講演会にも複数回ご登場いただいている前内閣官房参与で京都大学大学院教授の藤井聡(ふじい さとし)氏は、

「さぁ、今から『減税運動』を始めよう!」*8

と主張されています。

非常に厳しい状況ではありますが、確かにその通りでしょう。強く賛同いたします。大多数の国民が消費税減税(または撤廃)を望むならば、日本の未来は必ず明るいものに変わります。

そのためには、

「消費税」

という最悪の税金の真実を、一人でも多くの国民が知る必要がありますが、

「MMT(現代貨幣理論)」

は、その大きな武器になるはずです。というのも、そのエッセンスを理解すれば、執拗に繰り返されてきた、

国の借金」が増えている

このままでは「財政破綻」

消費増税やむなし

という財務省のプロパガンダの「大嘘」を、誰でも木っ端微塵に粉砕可能になるとともに、

「通貨発行主体」

である政府の本当の役割も明白になるからです。MMTの重要なポイントを簡単にご紹介すると、

  1. 日本のように「通貨主権」を持つ政府の財政破綻(非自発的デフォルト)はありえない。
  2. 政府にとって税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない。
  3. 政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は納税も国債購入も不可能である。

といったところです。これらが意味するところを理解できれば、

  • 「財政破綻」が杞憂に過ぎないこと
  • 「国債が子孫へのツケ」が大嘘であること
  • そもそもデフレ期に課税は必要ないこと
  • 増税が必要になってもそれが「消費税」である必要はないこと

なども自明になるでしょう。今回は、「3」について、ごく簡単にご説明させていただきます。

 今でも、税金を支払う時に「タックス・リターン」を提出したという言い方をする。いったいなにを「リターンした」というのか? 主権を有する政府に対して政府自身の通貨を返したのだ

『MMT現代貨幣理論入門』P.40

主要なポイントは、「政府は支出のために自らの通貨を借りる必要がない!」ということである。政府は、銀行、企業、家計、外国人が利息を得るための手段として、利息のつく国債を提供している。これは政策上の選択肢であって、必要不可欠なものではない。政府は支出する前に国債を売却する必要はない

同書P.42

「照合する(raise a tally)」という言い回しは、アメリカ人ならたいてい知っている。これは、ヨーロッパの国王たちの通貨として、金額を示す刻み目の入った「割り符(tally sticks)が使われたことに由来する。割り符は(本券と半券に)分割されて別々に所持され、納税の日になると国庫で照合された。租税が支払われた時点で、国王の発行した割り符を国王に引き渡すという納税者の義務が果たされ、同時に、自らの割り符を受領するという国王の義務が「解消」された。国王が割り符で支出した後でなければ、納税者がそれを引き渡す事ができなかったことは明らかである

同書P.43)

少し長くなりましたが、お伝えしたかったのは、国王(政府)が通貨を先に支出しない限り国民が納税をすることは不可能であり、本質的には、中央銀行制度や金融システムが複雑高度化した現代でもそれは変わっていないということです。

民間の金融資産は元をたどれば政府の負債なのであり、税金や国債は通貨安定のための調整手段に過ぎません。

国債は定義上確かに「政府の負債」ですが、その国債を購入するのに使われた日銀の準備預金も、「政府の負債」なのです。

つまり、

「民間の金融資産が政府債務残高を上回ったら財政破綻」

というような主張は、根底から意味を成していないことになります。政府が国債発行を増やせば、必ず民間資産は増加してしまうのですから。

今年は、MMTに関する書籍が相次いで刊行されていますが、

中野剛志(なかの たけし)氏の

『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』*9

『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』*10

の2冊は、高度な内容がとても平易にまとめられた良書ですので、おすすめです。

より深く学びたい方には、我が国にいち早くMMTを紹介された同氏の、

『富国と強兵』*11

もあります。また、

上で一部を引用させていただいた、MMTの第一人者である米バード大学のランダル・レイ教授の著作、

「MODERN MONEY THEORY」

も、今年8月に邦訳、

『MMT現代貨幣理論入門』*12

が刊行されたばかりです。

ザ・リアルインサイト10月号では、『MMT現代貨幣理論入門』の監訳を務められた経済評論家で株式会社クレディセゾン主任研究員の島倉原(しまくら はじめ)氏をお招きし、重要な主張ポイントや歴史的成り立ちを踏まえつつ、MMTが「財政破綻神話」を覆す可能性について伺っています。

「アベノミクスが失敗した本当の理由」

も含め、鋭いご指摘も多数登場していますので、会員の方は、是非じっくりとこちらの動画もご視聴下さい。

それでは、また。

リアルインサイト 今堀 健司

【引用・参照文献等】

* 消費税10%引き返す勇気を持と〜【せやろがいおじさん】(2019年9月30日)※動画です

*2 消費増税でキャッシュレス急拡大ポイント還元追い風(2019年10月7日・日本経済新聞)
※全文を読むには会員登録が必要です。

*3【社説】<消費税10%に>ポイント還元周知図れ(2019年10月8日・東京新聞)

*4 キャッシュレス決済なら「ポイント3重取り」が基本戦術に(2019年10月6日・マネーポストWEB)

*5 「日本国語大辞典」

*6 フランスの消費税と軽減税率、免税手続き方法(消費税・軽減税率情報Cafe)

*7 8月の景気指数、4カ月ぶり「悪化」に 増税前に停滞(2019年10月7日・日本経済新聞)

*8 【藤井聡】さぁ、今から「減税運動」を始めよう!(2019年10月2日・「新」経世済民新聞)

*9『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(中野剛志著・ベストセラーズ・2019年)

*10『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(中野剛志著・ベストセラーズ・2019年)

*11『富国と強兵』

*12 『MMT現代貨幣理論入門』(L・ランダル・レイ著・東洋経済新報社・島倉原監訳)