おはようございます。リアルインサイトの今堀です。
少し前までの酷暑が嘘のように、涼しくなってきましたね。
連休は、いかがお過ごしになりましたでしょうか?
さて、お届けしている内容が「長い」というご意見をいくつか頂戴しましたので、今回は少し短めにお届けしてみます。
少し前に、西日本新聞が、
政府の所得関連統計の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ている
統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 専門家からは批判も(2018年9月12日・西日本新聞)
ことをスクープしていました。
「経済分析で統計を扱うエコノミストからも疑義が相次いでいる」
そうです。
最も代表的な賃金関連統計の「毎月勤労統計調査」における「現金給与総額」の前年比増加率が、
1月 1.2%
2月 1.0%
3月 2.0%
4月 0.6%
5月 2.1%
6月 3.3%
となり、2017年平均の0.4%をいずれも大きく上回っただけでなく、6月は、
「1997年1月以来21年5カ月ぶりの高い伸び率」
を記録したはずでした。
が、簡単に言うと、新たな作成方法を採用して調査対象の事業所群の半数弱を入れ替えたために、
「現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態」
が続いていて、「統計の妥当性が問われる」事態になっているそうです。
統計手法の変更はままあることでしょうが、なぜか補正調整がされていないということなので、「ミスリード」であると言わざるを得ないように思います。
こうした統計手法の変更によるミスリードというものは、内外を問わず例があるものです。
しかし、このようなことを行っているようでは、そのうち中国の経済統計を揶揄していられなくなるかもしれません。そう言えば、GDPの推計方法も、一昨年に改定されていましたね。
GDP、基準改定で19.8兆円かさ上げ 内閣府、11年の試算値(2016年9月15日・日本経済新聞)
また、経済・財政政策に関する報道では、
「何が正しいのか」
がよくわからないという方も決して少なくないのではないかと思います。歴史を振り返れば、詐欺的な経済政策で国家が破綻しかけた例もあります。現在の政策にも、そうした詐欺的な要素が混じっていると言われたら、あなたはどう思われますか?
“経済学者や政治哲学者の思想は、それが正しい場合にも間違っている場合にも、一般に考えられているよりもはるかに強力である”
これは、ケインズが代表的な著作で述べていて、非常によく引用される一節です。
この文章は、
“遅かれ早かれ、良かれ悪しかれ危険なものは、既得権益ではなくて思想である”
(『雇用・利子および貨幣の一般理論』,J・M・ケインズ著,東洋経済新報社P.384より)
という結論に続くのですが、ここでも繰り返されている通り、経済や政治において、最も影響力を持ちうるものは、
「思想」
なのですね。過去20年もの間、日本を
「世界で唯一」
経済成長しない特異な国としてしまった原因も、究極的には思想の誤りである可能性が濃厚です。
不十分な「正しい」政策
と
急進的な「正しくない」政策
が繰り返されてきたことが、没落を決定づけたのではないかと思われます。
政府・日銀といった体制に関わる人々だけでなく、学者や民間企業のエコノミストといった人々まで、どのような主張をしてきたのかを丹念に追跡し、その信頼性を厳しく評価し続けて来た、怖い人物がいます。
それは、
『増補・日本経済新聞は信用できるか』(ちくま文庫,2010年)
などの著作があり、この7月に最新刊の
を刊行された、ジャーナリストの東谷暁(ひがしたに さとし)氏です。
上記の書籍に一冊でも目を通していただければ、「専門家」であるはずの人々の中にも、全く一貫性のない主張をしている人物が少なくないことがおわかりいただけることでしょう。
あなたのよく知る人物も、現実の後追いで意見や主張を目まぐるしく変えているかもしれません。
実は、『世界史を変えた詐欺師たち』では、上記で引用したケインズにも容赦ない批判が浴びせられていますので、ご関心のある方は、是非お手に取ってみていただければと思います。
そして、ザ・リアルインサイト2018年10月号では、東谷暁氏の講演映像を配信予定です。
「よく分からない」
経済報道にだまされないために、何が必要なのかをしっかりと掴んでいただけることでしょう。
会員の皆様は、是非楽しみにお待ち下さい。
それでは、また。
今日も皆様にとって幸多き1日になりますように。
日本のよりよい未来のために。私達の生活、子ども達の命を守るために、ともに歩んでいけることを切に願っています。
リアルインサイト 今堀 健司
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