おはようございます。リアルインサイトの今堀です。

2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長である森喜朗元首相が求めていたサマータイムの導入が、見送られることになりそうです。

東京五輪のサマータイム、導入見送りへ 自民党が見通し(2018年8月27日・朝日新聞DIGITAL)

システム対応の問題を筆頭に、各方面から批判が噴出していたので、当然の結果だとは思いますが、早めに結論が出たことは良かったように思います。

「五輪に合わせた導入は見送られる」ことになったものの、

「(自民党の)研究会は今後も議論を続け、年度内をめどに中間報告をまとめる予定」

だというのが気にはなりますが・・・。

今一度経緯を整理してみると、7月27日に森氏が東京オリンピック・パラリンピックの大会期間中の暑さ対策の一環として、安倍首相に「サマータイム」の導入を検討するよう要望したのが始まりです。

「サマータイム実現を」 五輪・パラ組織委 森会長(2018年7月27日・NHK政治マガジン)

8月7日には、安倍首相が「導入を検討するよう自民党に指示する考えを示した」と報じられていました。

サマータイム、首相が自民に検討指示 五輪暑さ対策で(2018年8月7日・NHK政治マガジン)

私が知ったのはこのタイミングでしたが、

「招致の時点でわかっていたはずのことを今さらそんな小手先で?」

と思ったのを覚えています。

そもそも、国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年夏季五輪の立候補都市に対し、7月15日から8月31日までの間に開催することを求めていたので、東京五輪は7月24日から8月9日を開催期間とした経緯があります。

焦点:東京五輪、なぜ真夏に開催か 猛暑で懸念高まる(2018年7月30日・ロイター)

つまり、最初から猛暑の時期に開催することは確定していて、動かせない条件だったということですね。

丁度2か月ほどのドタバタでしたが、根本的な解決が難しい問題はこのまま残ることになります。

そして、今回の騒動で知ったのですが、他ならぬ森氏が文部大臣だった時代にこんな答弁をしていた事実には、心底驚きました。

例えば僕たちの子どものころに非常に困ったのは、右側通行が左側になったり右側になったり、何でもかんでもアメリカ流にしていって、我々はそれこそ右往左往、うろちょろしたことを今でも思い出しているわけですし、あるいはサマータイムなんていうようなものもたしかアメリカからそのまま取り入れて、日本に合わないということで急にやめられて、学校教育では随分現場では苦労したということを記憶をいたしておるわけでございます。

第101回国会 予算委員会 昭和五十九年三月二十八日 (国会会議録検索システム)

この時の懐疑的な姿勢を、是非取り戻していただきたいものです。

ところで、以前、

『ヨーロッパの奇妙な死』
The Strange Death of Europe:Immigration, Identity, Islam(Douglas Murray著・2017年7月)

という書籍をご紹介させていただきましたが、同書でマレー氏が指摘しているのは、欧州で進んだ移民・難民の大量受け入れが重大な社会問題を引き起こしたことです。

それを、

「ヨーロッパの自殺」

とまで言い切っているわけですが、移民政策を始めとする「グローバリぜ−ション」への反対が世界的に大きなうねりとなったことが、英国のEU離脱(Brexit)やトランプ大統領の誕生につながったことは間違いないでしょう。

残念ながら、こうした世界的潮流に背を向け、今から移民政策を加速させようとしている特異な国が、我が日本です。

“外国人材を幅広く受け入れる方向で法案提出” 官房長官(2018年9月26日・NHK NEWS WEB)

米国が離脱したTPPを積極的に推進してきたのも、我が国です。

しかし、偉大な先人は、漢字や仏教の例もさることながら、様々な外国文化や政治手法の有用な部分を、時間をかけて取り込み、時には換骨奪胎というほどの変更を加えて、我がものとして取り入れてきたのではなかったでしょうか。

もちろん、科挙制度やキリスト教のように、導入を拒否したり、殆ど普及しなかったものも数多くあったはずです。

今こそ我々日本国民が取り戻すべき姿勢は、このような、急進的な変化や人間理性を過信したイデオロギー的な外来文化に対する懐疑的な姿勢、すなわち、真に保守的な姿勢なのではないかと個人的には思うのですが、いかがでしょうか?

それでは、また。

今日も皆様にとって幸多き1日になりますように。

日本のよりよい未来のために。私達の生活、子ども達の命を守るために、ともに歩んでいけることを切に願っています。

リアルインサイト 今堀 健司

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