たいへん遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年明けから国際情勢には大きなニュースが続いていますね。

米国によるスレイマニ革命防衛隊・コッズ部隊司令官の暗殺によって、急に緊迫したイラン情勢は、全面衝突を避けたい両国の思惑が合致したのか、イランの報復攻撃も、それに対する再報復もかなり抑制され、現時点では、なんとか最悪の展開を免れたようです。

しかし、中東地域への自衛隊派遣第一陣の海自哨戒機部隊が出発した* 直後、イラン政府が当初は否定していたウクライナ航空機撃墜を認めた*2 ことや、

「イラン核合意の制限を全面的に順守しない」*3

と表明していることなどから、予断を許さない状況は続きそうです。自衛隊の方々に人的被害が出ないことを祈るばかりです。

また、台湾総統選で蔡英文(さい えいぶん)氏が圧勝し、再選を果たしたことはひとまず喜ばしいことですが、中国政府は海外メディアが伝えていたテレビニュースを遮断するなど、警戒を強めています。*4

今後、台湾をめぐる米中の対立も激化していく可能性が高いのではないかと思われます。また、昨年末からICBMのエンジン燃焼実験を活発化させている北朝鮮*5 の動きも油断なりません。

転じて、国内を見てみれば、消費増税の悪影響が日に日に深刻さを増しているだけでなく、東京五輪・パラリンピック終了後にはさらに危険な経済状況に突入する可能性が高くなっており、令和2年は内外ともに激動の年となりそうです。

国際情勢で大きな変化が続く中、このまま自ら衰退を続けて影響力を失っていけば、遠からず日本及び日本国民は、さらに多くの苦難に見舞われることが避けられないでしょう。

問題が多すぎて絶望的な気持ちになりますが、特に、天皇陛下との会見が含まれる、習近平・中国国家主席の国賓来日は、重大な人権侵害を続ける国家

日本国が容認した

という国際的なメッセージとなり、取り返しのつかない重大な禍根を残す可能性が著しく高い悪手です。昨年末に訪中した安倍首相は、北京で習近平氏と会談し、

「習氏の国賓としての来日の成功に向け協力することで一致した」

ことが報じられました。国内では、香港の抗議デモへの強硬姿勢や、ウイグル弾圧に対して、

「憂慮」

を表明しつつ、

「透明性」

を求めたことを評価する報道*6 が多かったようですが、結果は

中国の内政問題だ

と一蹴されただけですので、

「一応文句を言った」

というアリバイづくりに過ぎないのではないでしょうか。

与党内の疑問の声*7 を、なんとしても「ガス抜き」に終わらせないでいただきたいと強く願います。

ザ・リアルインサイト2019年12月号のインタビューにご登場いただいたウイグル人の人権活動家トゥール・ムハメット氏も、日本という国が持つ多くの良い面を高く評価されつつも、

現代のヒトラー

になぞらえられるほどの非道を続ける習氏の「国賓来日」は、日本と日本人の人権意識のあり方について、重大なダメージを与えることを懸念しつつ、安倍首相への強い疑問を強調されています。

筆舌に尽くしがたい弾圧・迫害を受けてきたウイグル人を始めとする少数民族の方々の苦悩が、そう遠くない未来の日本人を襲う可能性があることを含め、今こそ私達は中国の覇権主義の恐ろしさを、しっかりと再認識すべきではないでしょうか。

会員の皆様は、トゥール氏のインタビュー動画も是非改めてご視聴ください。

それでは、また。

リアルインサイト 今堀 健司

【参照・引用元】

* 自衛隊中東派遣 海上自衛隊の哨戒機の部隊が日本出発(2020年1月11日・NHK NEWS WEB)

*2 イラン軍 撃墜を認める ウクライナ機墜落 人為的なミスで(2020年1月11日・NHK NEWS WEB)

*3 イラン、核合意の制限放棄で深まる核危機(2020年1月6日・ニューズウィーク日本版)

*4 台湾総統選 香港で歓迎の声 北京では報道画面暗転(2020年1月12日・ANN)※動画です

*5 東アジア緊迫化へと進める北朝鮮ミサイル実験(2020年1月14日・WEDGE Infinity)

*6 日中首脳会談 笑顔がゴールではない(2019年12月26日・東京新聞)

*7 【日本の議論】習主席「国賓」来日の是非「4つのトゲ抜くのが先」「目的と格に見合う待遇を」(2020年1月12日・産経新聞)

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