最近、ザ・リアルインサイト会員のあるお客様から貴重なお話をうかがう機会がありました。
それをきっかけに思い出したことを含めて、少しお話しさせていただきたいと思います。
おうかがいしたお話というのは、朝鮮半島からの
「引揚げ体験」
に関するものです。
その方は、敗戦直前の昭和20年(1945年)5月に、現在の北朝鮮にお勤めになっていたお父上の元に、ご家族で向かわれたということでした。当時小学校4年生でいらしたそうですが、
- 引揚げで日本の土を踏むまでに1年半を要し、帰国後もう一度4年生として小学校へ通ったこと
- 混乱の中で40日間の野宿を経験したこと
- 軍歴のあったお父上が、もう少しでシベリアに抑留されるところだったこと
- 朝鮮に渡る直前には、米軍機P-51の機銃掃射に遭ったこと
など、お聞かせいただきました。
この方は、現在も現役で事業を手がけていらっしゃり、お電話で何度かお話しさせていただいたことがありましたが、お声を聞く限りではそれほどのご年齢だと思っておりませんでした。
大変なご苦労をされたはずですが、語り口に悲壮感は感じられず、ただ
「現実に体験されたこと」
の重みが伝わりました。戦争体験をお持ちであるからこそ、我が国の安全保障については高いご関心をお持ちでいらっしゃり、私が以前このメールで書いた自民党の「改憲議論」についてのご意見を
いただいたことが、貴重なご体験についてお聞かせいただくことにつながりました。
個人的に「引揚げ」に関しては以前から関心がありましたので、藤原てい氏(数学者の藤原正彦氏の
お母上です)の
『流れる星は生きている』
や、
以前米国内で中学校の教材として用いられていることに対する韓国系米国人の反発で話題になった
ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ氏の
『竹林はるか遠く』
など、引揚げ体験に関する書籍についてもお話しさせていただきましたが、ご本人も現在、ご自身の体験を記録として書き残しておこうと奮闘中でいらっしゃるということでした。
ここで少し話が変わりますが、私の父の実家には、大きな仏壇があり、軍服を来た若い男性の遺影が
置かれています。それは祖父の兄で、「戦死した」ということは幼い頃から聞かされていました。
多少はものが分かる年になってから父に教えてもらったのは、
- 私の祖母は、元々祖父の兄の嫁だった
- 結婚後、子供のいないうちに祖父の兄は出征し、戦死
- 未亡人となった祖母は、後に出征から生還した祖父と再婚
- 明治生まれだった祖父母は、当時としては遅い子供として父を育てた
ということでした。
大伯父の戦死がなければ、自分という人間がこの世に生を受けることはなかったのだと考えると、今でも不思議な気持ちになります。
ともあれ、「敗戦」という体験は、全国民にとって非常に過酷なものであったことでしょう。
歯を食いしばって復興を成し遂げた方々のおかげで、現在の日本があることに改めて感謝するとともに、次代へ遺すべきものを、我々が失いつつあることについて、正しい危機感を持たねばならないと感じます。
先の大戦のご記憶をお持ちの方が、まだご健在でいらっしゃるにも関わらず、私達は正視すべき歴史を失いかけてはいないでしょうか。
戦争を避けるために、本当に必要なことは何かを考える上でも、真に重要なのは、歴史を正しく知ることなのではないかと思います。
ザ・リアルインサイトでは、そうした歴史の真実も引き続きお伝えして行きたいと思っています。
2018年11月号コンテンツでは、昨年12月号のインタビュー以来、約1年ぶりのご登場と
なる、評論家の江崎道朗(えざき みちお)氏の講演会収録映像
「敗戦革命という日本史上最大の危機を救った人々の真実」
をお届け予定です。
現実の脅威であった「敗戦革命」という知られざる真実と、昭和天皇を始めとする方々が、それに
果敢に立ち向かった史実が明かされます。必見です。
会員の皆様は、是非楽しみにお待ち下さい。
【参考図書】
『竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの 戦争体験記』
(ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ著, ハート出版, 2013年)
『流れる星は生きている』
(藤原てい著, 中公文庫, 2002年)
『水子の譜(うた)―ドキュメント引揚孤児と女たち』
(上坪隆著, 現代教養文庫, 1993年)
『日本占領と「敗戦革命」の危機』
(江崎道朗著, PHP新書, 2018年)
それでは、また。
今日も皆様にとって幸多き1日になりますように。
日本のよりよい未来のために。私達の生活、子ども達の命を守るために、ともに歩んでいけることを切に願っています。
リアルインサイト 今堀 健司
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